レザークラフトをやってみようと思い、本を買おうと思う方は多いと思います。
しかし、レザークラフト関連の本って思った以上にたくさんあって、どれを選べば良いかわからないんですよね。
私も完全に知識ゼロの状態から、「何か教本となるようなものはないか」と、探しては悩み、探しては悩みを繰り返しました。
本じゃなくてもネット上にたくさん情報はあるんですよね。革のことや道具のこと、型紙や縫い方までも。
便利といえば便利なんです。本なんかなくてもネット上の情報だけで何とかなりそうな気がするんですよね。
がしかし!情報が多過ぎるんです!初心者にとって情報はありがたいのですが、なんせ情報が多すぎて、
「えーっ!?こっちにはこう書いてあるのに、こっちではちょっと違うことも言ってるー!なんなの?結局どっちがいいの?」
というように、情報は間違ってはないのかもしれないけど、なにを信じていいかわからないという状態にもなりやすいんですよね。
そうなんです。初心者が欲しいものって、「基準」なんですよね。信頼できる基準が欲しいところなんですよね。「先生」と呼べるようなものが欲しいのです。
そこで今回、あなたの先生になってくれるであろう本をひとつ紹介したいと思います。
それがこちらの本。
数多くのレザークラフト関連本の中で、これを紹介する理由は、この本を私が一番多く開いたからです。
私も趣味でレザークラフトを始めて、いくつも本を買ったり読んだりしたのですが、なんだかんだで、この本を一番多く開きました。
気づいたら、この本が私の先生となっていたのです。
これから、この本から学べたことをお話していきますので、これからレザークラフトをやってみようかなという方、先生が欲しい方は、参考にしてみてください。
レザークラフト初心者におすすめの本「手縫いで作る革のカバン」
レザークラフトをこれからはじめようとする初心者の方に、私がおすすめする本が、
野谷久仁子さん著書の「手縫いで作る革のカバン」です。
本の表紙がヌメ革みたいで、とても素敵です。
この本の流れを大雑把に言うと、以下のようになっています。
・この本を見て作れる作品の紹介
・革についてのお話(革の種類や、買い方、手入れなど)
・用具・材料について
・基本のテクニック(この本に掲載されている作品を作るために最低限必要な基本テクニック)
・各作品の作り方
完全にレザークラフトを初めてやってみようと思っている方々に向けられた本で、
”知らない、やったことがない、何もかもが初めて”ということを前提に書かれていますので、初心者の私にもスッと頭に入っってきてたことを覚えています。
著書の野谷久仁子(のたに くにこ)さんの父親は、あの「吉田カバン」創業者・吉田吉蔵さん。
この本の最後の方に、「父・吉田吉蔵から受け継ぐもの」という章があります。
私のカバン作りの師は、父・吉田吉蔵です。
生涯、手縫いを愛し続けた父から多くのことを学びました。
このような語りから始まるこの章は、読み進めると、ほっこりと温かい気持ちになれます。
「あぁ、この本を選んで良かったな」と私は思いました。
そんな野谷久仁子さんの教える手縫いは、写真付きで解説されていますが、とても分かりやすいです。
手縫いって難しそうなイメージがあったのですが、写真と解説を見ながらやると意外にできるもんなんです。ほんとに。
もちろん趣味の範囲内でのお話です。職人レベルの技術は、そう簡単に本だけで得ることはできないと思います。しかし、「それなりに見えるかな?」くらいのレベルなら、この本でいけます!
また、この本では、あえて難しい縫い方は使われていません。
この本に載っている作品は、手縫いの基本「平縫い」だけで作れるようになっています。ここが初心者の私には嬉しかったですね。難しい縫いなどがあったら挫折していたかもしれません。
そしてこの本の一番の特徴は、全くの初心者でも、本を順に読み進めるだけで、こんなカバンが作れるというところです。
「ほんとか?こんな立派にはできないだろ。」ともちろん疑っていました。
まぁしかし、とりあえずこのトートバッグを作ってみようと思い、最低限の道具を買い揃え、ヤフオクで栃木レザーを必要な分だけ安く落札しました。
それから基本のテクニックを一通り練習して、すぐにトートバッグ作成に取りかかりました。
そしてこれが、私が完全素人の状態から、この本を見て作ったトートバッグです。
もちろん何もかも初めてなので苦労はありました。しかし本当に単純に本を読み進めただけだったんです。
丁寧に写真付きで解説されているので、例えその先のことがよくわからなくても、その手順通り、夢中になって手を動かすだけで、完成してしまいます。
このトートバッグ、シンプルなのにすごく存在感があると思いませんか?手縫いのステッチもすごく印象的ですよね。このバッグを使っているといろんな方に羨ましがられるんです!
こんなバッグを自分で作れるなんて思っていませんでしたが、「手縫いで作る革のカバン」を読めば、初心者でもこんなカバンが作れるっていうのは本当です。
そして、レザークラフト初心者の方にこの本をオススメする理由は、”こんなカバンが作れるから”というだけではありません。ほかにも理由はあります。
上の写真は現在(2020年)の写真です。作ったのは2013年ですので、7年が経過しています。
完成当時は、もっと白っぽい色合いだったのですが、経年変化により飴色になっています。雨染みや、傷、汚れもありますが、ヌメ革で作ったものは、じょうぶで、良い味出してくれるんです。
「手縫いで作る革のカバン」で一番身につく技術
レザークラフト初心者でも「手縫いで作る革のカバン」を読めば、上のトートバッグが出来上がるのは本当の話ですが、ただそれだけってわけじゃありません。
「手縫いで作る革のカバン」で一番身につく技術、それが、「手縫い(平縫い)」です。
この本を読んで、先ほどのトートバッグを作ることにより、「手縫い(平縫い)」の技術が格段に上達します!
本でトートバッグを見た感じでは、あまり縫いは大変そうには見えなかったんですよね。
いやいやしかし、実際にやってみるとまさに修行!いや苦行!
縫っても縫っても進まない。終わらない。ひたすら縫い続ける毎日。失敗もするのでほどいて縫い直ししたり、イライラする時もありました。
やってみるとすぐにわかると思いますが、縫い糸が長いんです!とにかく長い!その扱いに慣れてないので絡まったりするのです。
しかし時間を忘れ黙々と縫い進めることは楽しくて仕方ありませんでした。縫いにもだんだん慣れていきます。
そして作り始めの縫い目と、完成間近の縫い目では、その違いがハッキリと自分でわかります。自分の上達に必ずあなたも気づくはずです。
この作品を一つつくるだけで、絶対に平縫いは上達します!その技術が間違いなく身に付きます。
それほどひたすら縫うのですが、出来上がりの達成感や、カバン作りの醍醐味も味わえます。
逆にこのカバンを作ったあとに、財布などの小物を作ると、縫いに物足りなさを感じるかもしれません。「小物などの縫いなんて楽勝!」と思えるでしょう。
最後に
レザークラフトをこれからはじめようとする初心者の方におすすめの本、「手縫いで作る革のカバン」を紹介しました。
私はこの本のおかげで、「レザークラフトが趣味です」と人に言えるようになりました。
お店で売られているレザー商品の多くは、ミシン縫いです。部分的に手縫いされているものもありますが、ミシン縫いと手縫いは見た目の印象は全く異なります。
手縫いの魅力は、なんといってもその温かさです。どこか温もりを感じる、不思議なアジがあります。
野谷久仁子さんの書いたこの「手縫いで作る革のカバン」には、その手縫いの良さを最大限に生かした作品が掲載されています。
これからレザークラフトを始めようとする方には、是非オススメしたい本です。
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