フォークリフト リーチリフトでの坂道走行~失敗しないための知識~

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フォークリフト、リーチリフトで坂道を走行する際に、「どっちがどっちだっけ?」と迷うことありませんか?

毎日坂道を走行する方はそんなこと思わないかもしれませんが、たま~にしか坂道を走行する機会がない方は、あいまいな記憶で、間違った坂道走行をしているかもしれません。

「荷を持っている時と、持っていない時は坂道走行の仕方は違うの?」

「そもそも法令などの規定があるのか?」

と、いくつか疑問も出てきたりしますよね。


ここでは、安全な坂道走行のやり方を、確認していきたいと思います。

結論からいえば、荷を持った状態だと、

“積荷が坂道の上”になるよう走行する上り坂は前進、下り坂は後進)のが、安全な走行になります。

少し細かくみていきましょう。

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フォークリフトでの坂道走行

屋外での活躍が多い、カウンター式フォークリフトを使用する職場では、坂道を走行する機会は多いのではないでしょうか。

フォークリフトで、荷を積んだ状態で坂道を走行する際は、車両の安定性を保持するため、登り坂は前進、下り坂は後進で走行すると安全な運転操作が可能です。


つまり、荷物は常に坂の上と記憶しておきましょう。

坂道走行での注意点

坂道で、フォークリフトを使用する際には大きな危険が伴います。事故を未然に防ぐため以下の注意点を必ず守るようにしましょう。

・坂道での荷役作業を行わない。(荷を置いたりすくったりしない)

・坂道に対して、横向きに走行をしたり方向転換をしない。

・雨天時に鉄板など滑りやすい材質の斜面は走行しない。

・摩耗したタイヤで傾斜地を走行しない。

傾斜での走行は危険が高まります。

特に坂道に対して横向きに走行するのは非常に危険です。

そして、まずはしっかりと整備、点検された車両で、最大積載荷重を必ず守って、フォークリフトの荷役作業を行うことが大前提となります。

思わぬ事故を起こさない為にも、しっかりと注意点を守って坂道の走行をしましょう。

また、荷物で前方の視界が確保できない状態ならば、必ず誘導者をつけましょう。

空荷の状態では?

荷を持った状態での坂道走行はわかりましたが、荷を持っていない状態ではどうなんでしょうか。

「坂を登る時は、前進?後進?」

特に決まりがあるわけでは、なさそうです。

後述しますが、荷を持った状態での坂道走行に関しては、基発第218号に記載があります。

じゃあ空荷の時は、どちらでも良いのでしょうか?

どちらでも良いのならば、私は荷を持った状態と同じやり方で坂道を走行します。
理由は、「荷を積載していない場合」でも、普段から坂道走行の安全な走行のやり方を身につけておきたいからです。

ちょっとこれを見てみましょう。

トヨタさんの坂道アシストの紹介なのですが、荷物を持っていない状態です。

もし空荷で、坂道を前進で走行することが危険であるならば、例えテスト走行だとしても、このような動画は作らないでしょう。

安全であることが裏付けられていると考えてもよさそうです。

坂道走行のクセをつけておくために、空荷の状態でも、「登り坂は前進、下り坂は後進」で走行することが、結果、安全につながるのではないかと考えます。

リーチリフトでの坂道走行

リーチリフトでの坂道走行も、カウンター式と同じです。

「登り坂は前進、下り坂は後進」

つまり、荷を持った状態では、常に荷物は坂の上 と記憶しておきましょう。

リーチリフト坂道走行での注意点

リーチリフトでの坂道走行の注意点も、カウンター式と同様です。

・坂道での荷役作業を行わない。(荷を置いたりすくったりしない)

・坂道に対して、横向きに走行をしたり方向転換をしない。

・雨天時に鉄板など滑りやすい材質の斜面は走行しない。

・摩耗したタイヤで傾斜地を走行しない。

正直カウンターよりも、リーチリフトの方が坂道走行は怖いですよね。

体が支えられていないので、体が後ろに落ちそうな感覚があり、ちょっとこわいなって思います。

車体も、カウンター式フォークリフトより安定感は劣りますので、よりいっそう上記注意点を参考に、事故防止に努める意識が必要です。

リーチリフトの走行は、リーチインした状態で走行するのが基本で安全です。
ですので坂道走行の際も、必ずリーチインで走行します。

しっかりと整備、点検された車両で、最大積載荷重を必ず守り、安全な走行をしましょう。

リーチリフトで空荷の状態では?

リーチリフトで、荷物を持っていない状態でも、上記カウンター式でお話しした通り、坂道走行のクセをつけておくためにも、空荷の状態でも、「登り坂は前進、下り坂は後進」で走行することが、結果、安全につながるのではないかと考えます。

もちろん空荷の場合、どちらでも良いとは思います。

実際カタログなどを見ると、坂道を前進で下る時の、「降坂時抑速回生」機能を紹介しているものもあります。
空荷で前進で下っても、速度を抑制してくれる機能が付いてるということは、前進で下ることも想定してあるわけですよね。

しかし当然カタログにも、荷物を積んだ状態では、「下りは後進で」と注意書きもあります。

坂道の途中で、ブレーキ/アクセルオフでも急なずり下がりを防止。また、下り坂でも安全な速度を維持する機能が搭載されているというのは、オペレーターにとっては安心ですよね。

私は、坂道走行のクセをつけておくためにも、空荷の状態でも、「登り坂は前進、下り坂は後進」で走行することが、結果、それが安全につながるのではないかと考えます。

坂道走行に関する規定は?

坂道走行に関する規定はあるのでしょうか?

労働安全衛生規則(安衛則)には、坂道走行そのものに関する規定は、ありません。

第151条の6の2項に、

事業者は、路肩、傾斜地等で車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行う場合において、当該車両系荷役運搬機械等の転倒又は転落により労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、誘導者を配置し、その者に当該車両系荷役運搬機械等を誘導させなければならない。

と、傾斜地で危険が生ずるおそれのあるときには、誘導者を配置させないといけない、ということは規定されてます。

では、「上り坂は前進、下り坂は後進」はどこから出てきたのでしょうか。

それは、基発第218号にありました。

荷役、運搬機械の安全対策について

荷を積載して、こう配が急な傾斜面を走行するときは、登り走行は前進で、下り走行は後進で行なわせること。

傾斜面の下り走行をする場合は、エンジンブレーキを利用する等により、制限速度を超えないようにして運転させること。

「基発」というのは、は「労働基準局長名で発する通達」のことです。
通達は、手紙のようなもので、厳密には法令ではありません。

しかし、少なくとも厚生労働省やその下部組織は、この通達を前提に行政指導等をしますし、裁判所もこの通達を重視した判断をするため、結局は一般企業や労働者に影響もあり、関係のないことではありません。

基発には、「荷を積載して~」と、あります。

荷を積載していない場合の走行については、安衛則にも通達にもありませんでした。

登坂能力とは

登坂能力(とはんのうりょく)を気にしたことはありますか?

フォークリフトのカタログには、「最大登坂能力」の記載があります。


走行時基準負荷状態、又は走行時基準無負荷状態で、フォークリフトが登坂することができるスリップ限界の勾配の最大値が、「%」で示されています。

登坂能力にある%は、勾配で表記されています。ですので、傾斜角を知りたい場合は計算しなくてはいけないんですね。

例えば、カタログにこのような記載があった場合を見てみましょう。

最大登坂能力(%)|(3分定格・負荷/無負荷) |  17/30

・3分定格は、連続 3 分,1.5 km/h 以上 (日本工業規格JIS D 6201より)で計測したということです。

・負荷(最大荷重を基準荷重中心に積載した場合)の場合は、勾配は17%が最大。

・無負荷の場合は、勾配30%までは大丈夫。

ということになります。


勾配17%は、角度に換算すると、およそ9度。

勾配30%は、およそ16度。

計算方法は、、、私は苦手なので、計算サイトを利用しました^_^

気になる方は、自分が毎日乗っているフォークリフトの登坂能力を調べてみるのも面白いのではないでしょうか。

注意すべきは、タイヤの摩耗状況や、エンジンやティルトなど車両の状態、バッテリーの状態等で、登坂能力がカタログ上の数値より発揮できない場合もあります。

車の燃費と同じですね。実際に車を走らせてみたら、「思ってたより燃費が悪いな」と思うことはよくあることだと思います。

最大荷重と最大登坂能力をしっかり守り、無理なく安全に坂道走行を行いましょう。

まとめ

フォークリフトやリーチリフトで、坂道を走行する場合

①荷を持った状態では、“積荷が坂道の上”になるよう走行する上り坂は前進、下り坂は後進)のが、安全な走行。

空荷の場合は特に決まりはない。しかし空荷の状態でも、「登り坂は前進、下り坂は後進」で走行するのがオススメ。

③安衛則には、坂道走行に関する規定はない。しかし基発第218号に、安全対策として明文化されている。

④最大登坂能力を知る。


正しい坂道走行を覚え、安全なフォークリフトの運転を、あなただけではなく、同僚や後輩、部下にもしっかりと伝え、教えて、事故のない職場環境をつくっていってください。

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