ギターの音作り、うまくできていますか?
自分のイメージする音ってなかなか出せなくて、どうしていいか分からなくなりますよね。
私がギター始めた頃は、とにかくコードを押さえることや、フレーズが弾けるようになることに夢中で、音に関しては、あまり気にすることはなかったです。
雑誌に載っている、お気に入りのギタリストのセッティング図を見て、アンプやエフェクターのツマミの位置を真似するだけでした。
当然お気に入りのギタリストと同じ音なんか出てくれません。ギターも違えばアンプも違いましたし。
しかし、ある時気づくのです。
「ハイ。これで弾いてみて」と、好きなギタリストが、いつものセッティングで私にギターを与えたとしても、同じ音は出せないだろう、と。
実際そんな経験はありませんが、そんな気がしてなりません。
ピッキングの角度や強さ、ピッキングのポジションなどの要素で、同じセッティングでも同じ音は出せないだろうと。
じゃあ自分の音を、自分だけの音を見つけよう。作ろう。自分らしさが欲しい。
そう思うようになるのです。
しかし、それだけじゃダメだったのです。
自宅で1人でギターを弾いているだけならいいのですが、バンドなどをやるようになると、そうはいかなかったのです。
自宅やスタジオで1人で作った音が、ちょうど良いトーンで、ちょうど良いエフェクト効果に感じられていたとしても、他の楽器のサウンドと混ざり合った時に、音が硬すぎて聴こえたり、エフェクターの効果が強すぎたり、弱すぎたりと、違って聴こえることが多々あります。
過去の私は基本を知らないので、もうどうしていいか分からなくなってしまいました。
しかし、早い段階で音作りの基礎を身につけておけば、そんな問題は解決することが出来ます。
自分の理想に近づけます。
基礎を身につけ、自分の基準となる音を見つけておけば、どんな場所でも、どんなアンプでも、あなたらしい音が出せるようになるはずです。
ギター側の基本の音作り
ギターには、レスポールタイプや、ストラトタイプなどの種類があり、ピックアップもシングルコイル、ダブルコイル(ハムバッカー)などあります。
しかしここではどんなタイプのギター、ピックアップであっても、ひとまずそれは置いといて、ギター側の基本をお話しします。
ギター側は、まずリア・ピックアップを使って音を出すところから始めます。
リア・ピックアップは低域の少ない音がします。
ですので、それで低音が足りないと思ったらフロントのピックアップを使うなりして、自分の納得する音を探します。
この時、ボリュームもトーンもフル10にしておきましょう。
10というのは、その楽器の性能を最大限に発揮させるためのポジションです。
ですので、音作りの際は、常に10から始めます。
その理由は、
“ないものを足すのは難しいが、あるものを削るほうが簡単”
という考えからです。
アンプ側の基本の音作り
先ほどお話しした、“ないものを足すのは難しいが、あるものを削るほうが簡単”ということを覚えておいてください。
アンプ側の音作りは、まずすべてのツマミをフルにします。ボリュームもトーンもフル、10にします。
そうすると、たぶんボリュームがうるさすぎてエラいことになっていると思います。ですので、音を適当なところまで下げます。
続いて、低音も出すぎているはずですから、BASSを落とす。
高音も、キンキンして耳に痛いので、好みのところまで落とす。
このような流れで、つねに「削る」という方向で音を作っていきます。
そして、ある程度音が出来上がったと思ったら、アンプの正面に来て(正確にはスピーカーの正面)に来て、実際にどんな音がしているか、確認してみましょう。
ツマミの前で聴いていた音と、スピーカーの正面で聴く音は、かなり違うものです。
そこで必要な補正を行います。
- GAIN(ゲイン):歪み具合を調整
- TREBLE (HIGH)/高域の調整 音の輪郭がはっきりとします。掛けすぎると耳障りなサウンドになります。
- MIDDLE (MID) /中域の調整 音の抜けが良くなります。掛けすぎると音の輪郭がぼやけます。
- BASS (LOW) /低域の調整 太いサウンドになります。掛けすぎるとモコッとしたサウンドになります。
- PRESENCE /超高域の補正 サウンドにエッジを立たせたい場合や、抜けを良くしたいときに使います。上げすぎるとキンキンしたサウンドになります。
■ツマミは時間表現を使うと正確■
アンプのツマミは、メーカーによって表現が異なります。
例えば、フェンダーのツマミには、“0”という位置がありません。“1”からはじまっています。
数字も目盛りもないアンプもあります。
人にボリュームのツマミの位置(数値)を伝えるのに、「ボリュームは3だよ」とか言っても、それが、フェンダーのアンプか、マーシャルのアンプであるかで、ずいぶん違ってきます。
ですので、時間的な表現をすることが少なくありません。
「ボリュームは11時、BASSは12時、HIGHは3時。」の様な表現です。
時計の短い針を、頭に浮かべてみてください。
自分のスタンダードな音を覚えておく
上記の内容で音を作り終わって、これであなたの好みの音が出来上がったと思います。
(私の好みはこのようなツマミの位置です)
あなた好みの各ツマミの位置をしっかり覚えておきましょう。なにかメモにしておくと確実です。スマホで写真撮っておいてもいいですよね。
そしてこんどは、どこか違う場所、違うアンプを使う機会があったら、そのメモをしたとおりのセッティングにしてみるのです。
メモどおりのセッティングをしてみたら、たとえば、“どうもHIGHがキツいなぁ”と感じる、または、“低音が出すぎているなぁ”と感じたりすることがあります。
もしHIGHがキツいと感じたなら、そのアンプは、あなたにとってのスタンダードな音に対して、HIGHのキツいアンプという判断ができるわけです。
誰かに、「AというアンプはHIGHがキツくてさー」という話を聞いたりしたときに、あなたはそんなこと信用してはいけません。
なぜなら、あなたは自分でそのことを体験していないからです。
実際に、そのAというアンプで音を出してみて、自分のスタンダードな音に対してHIGHがキツければ、少しHIGHを下げればいいし、もしちょうど良ければ、そのアンプはあなたにとって、HIGHのキツいアンプではないわけです。
どんな場所でも、どんなアンプでも、自分にとってスタンダードな音を基準に音作りをすれば、まず大きな間違いを犯す危険性は少なくなります。
エフェクターはあとから
エフェクターは、アンプで音作りした後に、ONにします。
といいますか、必要なければ、エフェクターは使わなくても良いです。
私もそうだったのですが、みんなエフェクターを使っているので、
“つかわなければいけない”
“つかえば必ず良い音になる”
みたいな固定観念はありました。せっかく買ったんだし、使わなくては損みたいな気持ちもありました。
アンプでガンガン歪ませているのに、さらに歪みのエフェクターで歪ませ、ハウリングの嵐!みたいな失敗は、ライブハウスで私も経験しました。
エフェクターの使い方、考え方としては、アンプで作った音に対して、「足りない部分を補う」といった使い方をするのが正解です。補う必要がなければ、エフェクターを使う必要はありません。
私の場合は、ギター本体で変わることが多いです。
メインで使っているギターは、エフェクターを一切使わなくても、自分の好きな音が出てくれます。
しかし別のギターの場合、同じセッティングでも、少し物足りない部分があるので、その場合には、エフェクターメインで歪みの音を作ったりしています。
まずは、アンプだけで好みの音をつくりましょう。それからエフェクターのことを考えます。
音作りの参考例
単純な例ですが、同じアンプでも、ツマミ位置を変えるだけで、こんなに音に違いが出るんだということが実感できるのではないかと思います。
Clean ①
Clean ②
Blues/Crunch
Metal
もちろん、アンプによって、全然音色は違ってきます。同じセッティングで、いくつものアンプを試してみるのも、面白いですよ。
音作りで気をつけたいこと
自宅や、スタジオで、ギター1本で音作りをしている時には、ちょうど良いトーンで、ちょうど良いエフェクト効果に感じられていたとしても、バンドで、他の楽器のサウンドと混ざり合った状態では、音が硬すぎて聴こえたり、エフェクターの効果が強すぎたり、弱すぎたりと、違って聴こえたりすることが、多々あります。
そんな問題を解決するには、まずは音量をチェックします。
実際にみんなで曲をプレイしてからのチェックでも良いですが、簡単なバッキングパターンを、全員でウォームアップ的にプレイしながら、音量を調整するのが良いと思います。
音量の次に、トーンと、エフェクターを用いているのならば、それらの効果をチェックします。
トーンとエフェクトの効果は、音抜けなど聴こえやすさにも影響を与えるので、細かく調整するように心がけましょう。
そして、最後は、音量の再調整です。
トーンとエフェクトの加減により、聴感上の音量もかわります。今一度音量バランスが適切か確認します。
バンドの中では、ギターソロ時はもちろんですが、効果的なバッキングを表現する上でも、音作りはプレイ同等の重要性をもっています。
こういうものは、経験を積み、たくさんの失敗を繰り返すことが、一番の肥やしになります。
ですので、常に、音量、音質に対して、高い意識をもって、良いサウンドを作り上げるための、積極的姿勢を身に着けたいところです。
最後に
ギターの音作りの基本的なことをお話してきましたが、いかがだったでしょうか。
無限の組み合わせがあり、なかなか最初は、何が良くて何が悪いか、自分が何を求めているか、わからなくなるかもしれません。
しかし、経験を重ねることで見えてくるものは必ずあります。
また、近年では、デジタル技術の進歩のおかげで、なんでもできてしまいます。
私が今回お話したことは、古くさいのかもしれません。
たとえギターの技術がいまいちでも、デジタル技術の枠を集めたエフェクターをバシバシかけ、あちこち手直しすることによって、あっという間に見事なギタリストに変身してしまいます。
機械の進歩はありがたいことですが、“良いものをより良くしてくれる”のと同時に、“良くないものを良いように聴かせてくれる”という怖さもあります。
ギターで、なにかを表現しようとするならば、
“頭でイメージしたものを、心をこめて、手(技術)で表す”
古くさくても、こんなギタリストに憧れてしまいます。
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