万年筆を初めて手にしたときは、普段どのように扱うものなのか、何気ないことでもわからないものなんですよね。
大事にしたいと思えば思うほど、細かいことが気になってしまいます。置き方やその向きについても気になるものです。
私も、万年筆を置くときの向きや、持ち運ぶときなど、気になって仕方ありませんでした。
結論から言えば、万年筆にとって、良い置き方や向きというのはあります。
そこまで神経質になる必要はありませんが、大切につかっていきたいならば、是非頭に入れておきましょう。
万年筆の置き方
デスクワークの際、ボールペンなどと同じように、万年筆を寝かせて置くことは、何の問題もありません。
私もそのようにしています。その際キャップはしっかりとします。
万年筆のペン先は乾燥しやすいので、筆記中に、数分間手を止める際でもキャップをするのが良いです。
でないと、次の書き出しの際、文字がかすれます。
また、キャップは、万年筆が転がるのを防止してくれる役割も果たしています。キャップについているクリップが、転がるのを防いでくれるのです。
常にキャップを尻軸にはめて筆記する方は、キャップをし忘れて万年筆を置いても転がり落ちることはないですが、キャップを尻軸にはめずに筆記をする方は、特に注意しましょう。
また、万年筆を置く際に、ペントレイを使うのも良いでしょう。
散らかりがちな机周りを、すっきりさせることもできますし、使いたいペンに素早く手が届くというメリットもあります。
私は、ペンを置いた時の、“カタッ”という硬い音がちょっと気になっていたので、レザーでトレーを自作しました。
プラスチックや木のトレーでも、ペンに傷がつくなどの影響はないと思います。
気持ちの問題です。
「床で寝るか、ベッドで寝るか」みたいな。どうせなら万年筆も、柔らかいところで横になって欲しいなという。
おしゃれなペントレイはたくさんありますので、お好みのものを選んで、大切な万年筆を置いてみてはいかがでしょうか。
万年筆の向き
万年筆を置く、持ち運ぶ、保管する際に気になるのが、“向き”でしょう。
ペン先を、“上向き”にするのか“下向き”にするのか。
“絶対”にとまでは言いませんが、一般的に万年筆は、ペン先を上向きにして保管することが推奨されています。
つまり、ペン立てなどに万年筆を、立てて置く、保管する際には、ペン先が上になるように置きます。
(私は、空き瓶をペン立てにしていますが、ペンを入れた時、“カツン”という音が気になるので、革のハギレを使い、クッション代わりにしています。)
万年筆はインクが入っているので、下向きにした方が、書き出しの時にスムーズにインクが出て、書きやすいのではないかと思ってしまいます。
似たような例でいえば、ケチャップやマヨネーズを逆さにして、冷蔵庫に保管したりする場合ですね。
しかし万年筆の場合、ペン先を上向きに置いていても、ペン芯にインクが保持されているので、書き出しの際には、芯からインクが供給されて、書いているうちにインクはペン先に落ちてきています。
ですので、ペン先を下向きにしておく必要はありません。
逆に、下向きにしておくと、インクが漏れる可能性はあります。
実際、最近の万年筆では、インクがボタ落ちするようなことは無いと思いますが、古い万年筆や、ペン芯が劣化して、インクの保持力が悪くなっている万年筆なら、下向きにはしない方が良いでしょう。
また、万が一キャップをし忘れて、ペン立てにペン先を下向きに突っ込んでしまったら、ペン先にダメージを与えてしまいます。万年筆のペン先は非常にデリケートなので、それは避けたいところです。
普段からペン先を上向きにするくせがついていれば、万が一キャップをつけ忘れペン立てに突っ込んだとしても、ペン先がダメージを受ける可能性は0です。
この点から考えても、ペン先を上向きにして保管するのが一番良いのではないかと思います。
持ち運びの時の向き
バッグなどに入れて持ち運ぶ際も、横向きか、ペン先が上向きになるよう持ち運ぶのが良いでしょう。
万年筆の持ち運びは、ペンケースに入れておくと、向きも安定し、衝撃から守ることもでき、安心です。
まとめ
・デスクワークの際、万年筆を寝かせて置くことに問題なし。
この時注意点として、キャップは付けた方が良い。さらにペントレイを使うのもおすすめ。
・万年筆を立てて置く、または保管する場合は、ペン先を上向きにする。
・持ち運び時は、ペンケースに入れ、横向きか、ペン先が上向きになるよう持ち運ぶのが良い。
万年筆は、インクを入れたり、洗浄したりと、手間はかかるものですが、そのぶん愛着がわき、大切にしようとする気持ちは強くなっていくのではないでしょうか。
置き方や、向きをほんの少し気にして、万年筆を愉しみましょう。
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