万年筆を初めて手にした時すごくワクワクしていたのを私は覚えています。
けど最初は使い方もよくわからないし、「書きやすい」という声を聞いたりしていましたが、どちらかといえば、「書きにくいし!」と思い、少しがっかりしたのを覚えています。
しかし今は毎日使い、「書きやすい」と思っています。
中には、「万年筆って思ってたのと違うな」という方いるかもしれませんね。
しかし大丈夫です。万年筆は書きやすい筆記具です。
ボールペンとは少し違い、
“やや寝かし気味に書く” “筆圧に気をつける”
というコツを知っておけば「思ってたのと違う」から「書きやすい」自分だけの万年筆になっていきます。
また、万年筆には、カートリッジ式とコンバーター式がありますが、それぞれ使い方や楽しみ方があります。ここではプラチナの万年筆とペリカンの万年筆を例にあげて解説していきます。
使い方や楽しみ方を知り大事に使っていけば、万年筆は自分と一緒に成長してくれる不思議な筆記具なのです。
初めて使う時
万年筆は最初インクが入っていません。
ボールペンは買ってすぐに使えますが万年筆はひと手間かかります。
カートリッジ式ならカートリッジを差し込むだけなのですが、すぐにインクが出るわけでもありません。
「カートリッジを差し込んだのにインクが出ない!間違っているのかな」と最初は少し戸惑った記憶が私はあります。
コンバーター式はインクボトルが必要となります。
ボトルからインクを吸い上げ万年筆にインクを入れてからじゃないと使えません。
初めて使う際には、カートリッジでもコンバーターでもインクは自分で準備する必要があります。
しかし言い方を変えてみると使い手に選択の自由があり、最初から楽しめるんですよね。
カートリッジもコンバーターもそれぞれ使い方や楽しみ方があるので見ていきましょう。
カートリッジ式の使い方と楽しみ方
カートリッジの使い方は簡単です。
まず胴軸を外します。
ペン先を上に向けてカートリッジを真っ直ぐに差し込みます。回しながら差し込むと首軸内部を傷める可能性がある為、真っ直ぐと。
カートリッジを差し込んだ後はインクが先端に到達するのを待ちます。
ですが、経験上差し込んだだけではなかなか到達してくれないです。
なので私はカートリッジを両側から軽く押してインクを送り出します。
カートリッジインクの最大の特徴は、インクがなくなったときの補充がとても楽で早いことです。
外出先でインクが無くなっても空のカートリッジを抜いて、新しいカートリッジを挿すだけ。
カートリッジ自体の携帯も楽なので、インク補充に関しては一番楽です。
デメリットをいえば、インクの種類が少ないという事。
カートリッジは、各社ごとに独自の規格で作られているので純正品を使うのが基本。
ヨーロッパ規格と呼ばれるカートリッジインクは、メーカーが違ってもほぼ同じ形状をしており、他のメーカーを使うことができます。(ユーザーの自己責任で)
それでもカートリッジのインクの種類は少ないので、
どうしても使いたいインクや色がある場合には“コンバーター”を使います。
最近の万年筆はカートリッジとコンバーター両用式が主流の為とても使い手にとって便利になっています。
普段はコンバーターで好きな色のインクを入れて持ち歩き、外出先でインクが切れた場合にカートリッジに差し替えるという使い方も出来便利です。
コンバーターの形状は、各メーカーごとに違っているので純正品を使うのが基本。
ヨーロッパ規格のカートリッジインクを使う万年筆では、対応するコンバーターの形状もほぼ同じことが多いですが、基本は純正のコンバーターを使うのが安心。
コンバーターがどの規格とも合わない、カートリッジだけしか使えない!
だけどインクも好きな色を使いたい!
そんな万年筆に出逢うこともあるかもしれません。
そんな時は、
これを私は使います。(化粧用スポイト。100均で購入しました。)
最初に付いていたカートリッジを使い切ってからでもいいし、これでカートリッジの中のインクを吸いとって空にしてもいいと思います。
使いたいインクをこれを使って空のカートリッジに注入します。
これを使えばカートリッジに好きな色を入れて使うことができます。
コンバーターを買うのが面倒だと思えばこの方法もありです。
カートリッジでもこのように十分楽しめます。
コンバーター式の使い方と楽しみ方
先ほども述べましたが、カートリッジとコンバーター両方使える万年筆が主流となっています。
好みや用途でどちらかを選択できます。
カートリッジの代わりにコンバーターを挿し込み、吸入式の万年筆と同じ様にインクを入れます。
※吸入式の万年筆というのは、ボトルインクよりインクを吸い上げ、ペン内部にインクを溜めて使用する万年筆です。吸入式万年筆ではカートリッジもコンバーターも使うことは出来ません。
ですのでコンバーターではボトルインクを用意します。
ボトルインクは種類が豊富で最初は悩むかもしれませんね。
しかしそれも万年筆の愉しみ方のひとつです。
コンバーター式でのインクの入れ方
①胴軸を外し、首軸にコンバーターを真っ直ぐに挿し込む
②つまみを左に回して、コンバーター内部のピストンを下まで下げる
③ペン先を首の先端部分までインクに浸したらつまみを右に回しながら吸入
④吸入したらペン先をインクから出し、つまみを左にほんのすこし回してインクを2、3滴落とし、最後ペン先を上に向けつまみを右に回しきります
⑤インクを入れたらペン先と首軸の部分を拭き取る
ペン先をインクに浸す時、ペン先がインク瓶の底に当たらないように気をつけます。
それともう一つ注意することがあります。
つまみを右に回しインクを吸入する時なんですが、空気だけが入りインクがコンバーターに入らないことが結構あります。
そんな時はインクに浸したまま何度かピストンを上下させてみてください。
そうするとうまく入るはずです。
コンバーターは透明なのでインクが入っているかどうかはわかりやすいのですが、吸入式万年筆の場合は胴軸によっては中身が見えずインクが入っているかどうか目視できないんですよね。
過去に私は入れたつもりのインクが入っておらず、外出先で使おうとした時に「あれ?」ってなったこともあります。空気だけを入れた万年筆を持ち歩いてたんです。
何だか恥ずかしいというか、虚しかったですねあれは。
さて、コンバーターでは色んなインクを使えます。自分の色を見つけるのも楽しみ方のひとつです。
私も様々な色は試してきたのですが一番好きなインクは、ペリカン エーデルシュタインシリーズの“タンザナイト”です。
これに出逢ってからはこのインクばかりです。最初はオシャレな雰囲気のボトルに惹かれたんですが中身の神秘的な色にも惹かれてしまいました。
あなたもきっとお気に入りの色が見つかるはずです。
万年筆での書き方
万年筆で字を書くときは、ペン先の刻印が上になる様に持ちます。
ボールペンよりもやや寝かせ気味に、45度~60度くらい傾けて書きます。
コツは力を抜くこと。普段筆圧が強い人は特に意識してみてください。
軽く、優しく持って書いてみましょう。
正しくない角度で持ったり力を入れるとスムーズにインクが出てくれません。
万年筆は筆圧がいらないので、ボールペンなどに比べると疲れにくいですね。
長文を書く際には万年筆をオススメします。
プラチナ万年筆の使い方
カートリッジとコンバーター両用式の万年筆を一つ紹介します。
国産メーカー、プラチナ万年筆の「#3776 センチュリー 」です。
1年以上筆記しなくてもインクが詰まったりかすれたりせず、すぐに書き出せるという優れもの。
初め私の中の「万年筆」のイメージは、黒軸ボディに金クリップの組み合わせの「仏壇万年筆」でした。
ですので最初に手にした万年筆はコレでしたね。
あっ、それと「ハート穴」!
ハート穴に関してはここでは割愛いたしますが、なかなかハートの形をしたハート穴が無いんですよね。
このハート穴は結構お気に入りです。
この万年筆は両用なのでカートリッジかコンバーターどちらかを挿し込みます。
カートリッジは挿し込むだけ。コンバーターは挿し込んだ後、好きなインクを入れて使用します。
国産の万年筆は、なんといっても「漢字」が書きやすいです。
とめ、はね、はらい、も書きやすいですし、細かな漢字を書いても字が潰れにくいです。
海外の万年筆は漢字ではなくアルファベットを書くことを想定して作られているので、
同じF(細字)でも国産と海外では字幅が違い、海外製の方がやや太めです。
国産 F(細字)=海外製 EF(極細字)
という感じです。
ペリカン万年筆の使い方
ここでは吸入式の万年筆のご紹介。
ペリカンの「スーベレーン M400」
私はここ数年これしか使っていません。毎日使うには本当にバランスが良い万年筆なんですよ。
気軽にポケットにさせますし、手に馴染みやすくサイズ感抜群!本当に一生使い続けれそうです。
この万年筆は吸入式で、万年筆内部にピストンがあり、
万年筆の尻軸を回してコンバーターと同じようにペン先からインクを入れます。
私の場合コンバーターに入れるよりも本体内部にインクを入れるほうが安心感というか、愛着が沸くというか、心が落ち着く感じが私にはあります。不思議ですホント。
万年筆を使う時に気をつけておきたいこと
1.キャップはこまめに閉める
ペン先が乾くとインクがかすれたり出なくなったりして書けなくなります。
執筆中に手を止める時はキャップを閉めましょう。
2.こまめに使う
万年筆はしばらく使わないとペン先にインクが詰まってしまいます。
しばらく使わない場合はインクを抜いて洗浄し保管することをおすすめします。
3.あまり他人には貸さない
万年筆は持ち主の書き癖がつく筆記具です。長期的に他人に貸すことはおすすめしません。
また、「ちょっと書かせて!」と言われる時が必ずあるはずです。
万年筆に慣れている人ならいいですが、いきなり強烈な筆圧でやられる可能性もありますので、
貸す場合は「優しくね^_^」と言いましょう。
最後に
勉強の際ノートに書く、メモをとる時に書く、日記を書く、絵を描く、字の練習の為に書く、
目的もなくただ万年筆が見たいが為に何かを書く。
万年筆の使い方は人それぞれ。
好きな方ならわかると思いますが、書くという場面に出くわしたら、とにかく万年筆に活躍して欲しい。
そう思います。
その想いが不思議と万年筆に伝わり、文字に個性が宿るんです。
大事に想えば万年筆は必ず人生のパートナーになっていきます。
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